アラフィフ女子のゆるやかな日々

ゆるやかにいろいろなボーダーを越えていきたいアラフィフ主婦のblog

街とその不確かな壁

待ちに待った村上春樹さんの長編小説『街とその不確かな壁』。

影を持つ現実世界と、影を持たない壁に囲まれた街(もう一つの世界)の物語。

これまでにも現実の世界ともう一つの世界(異次元)を描いた村上さんの小説を読んできましたが、今回は特に心やさらにその奥にあるといわれている無意識の領域(潜在意識)の在り方や繋がりについて深く考えさせられる物語でした。

村上ワールド全開とも言える今回の作品ですが、読みながらわたしが感じたのは「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」や「1Q84」などと比べて日常的な親しみやぬくもりという様な感覚でした。また主人公との年齢も近いこともあり共鳴できる部分が多く、より深く物語に没入できました。

当然のことながら風景の描写や登場人物の会話、主人公の感情の表現は素晴らしく、読む側の想像力を掻き立てより物語をリアルに感じながら最後まで夢中で読みました。

まだ村上さんの長編小説を読んだことがないという方には是非読んで欲しい一冊です。