年末くらいからずっと電車での移動時間と家での空いた時間をほぼ読書に費やしていました。
最近は読書好きの友人から面白かった小説を教えてもらうことも多く、最後の『グロテスク』以外は全て同じ友人からおすすめしてもらった本です。
同じ児童養護施設で育ち、大人になってそれぞれの人生を歩んでいた優希と二人の少年。あることをきっかけに再び再会したことによって、3人が秘密にしていた事件の真相が暴かれていきます。
物語は終始重々しく進んでいきます。3人がそれぞれ親から何らの虐待を受けており、心の傷を隠したまま、自分をごまかしながら過ごしていたささやかな日常がいとも簡単に壊されていく様は読んでいて絶望感しかなく、とても自分ひとりでは感情を処理できずに友達や旦那にストーリーだの感想だのをやたら話しまくって消化していました。とても重みのある内容の一冊。
読んだことはなくともタイトルだけは聞いたことがあるという方は多いのでは。わたしもそのうちの一人でした。あまりにも有名な作品なのでストーリーは割愛します。
噂には聞いていましたが、主人公の譲治を谷崎潤一郎自身を投影しているのであれば、なるほど、彼がなぜに変態文豪と言われているのかがわかります笑。
耽美小説のはしりとも言われいるようですが、最後の方とかほんとにもう、逆にギャグなのでは?と思ってしまうほど、わたしには刺さらなかったです笑。読み物としてはもちろん面白いんですけど、わたしの感想は譲治もっとしっかりしろーーーー!って感じてす。
女中と2人暮らしの50代の独身きんの家に、かつて恋仲だった20代の男性が訪ねてくる一日の物語。
きんはもと売れっ子の芸者で若い頃から美しく、50代になっても美しくあることにぬかりがなく、この日も男が訪ねてくる前に銭湯へいって身を清め、氷で顔をマッサージし、丁寧にクリームを塗り、仕上げに冷酒を煽り色っぽさを演出する徹底ぷり。
男が訪ねてきた後も男の視線が自分の老いに気づいたものだと知れば、自分の部屋へホルモン注射を打ちに行き、男の訪ねてきた理由が金の無心だと知れば、がっかりしつつも負けるまいと気合いを入れるためにヒロポンの飲むという自分自身を鼓舞するあたりは女性としてあっぱれ!と関心してしまう。また同じアラフィフとしてはかなり共感できる部分が多く、今後何度も読み返すであろうと思います。
不治の病に侵されてしまう孤独な美少女のおはなし。少女の他に、美形の兄、美しい未亡人の叔母などが登場し、物語の結末には禁断の愛まで用意されていて、小説というより女の子が一度は憧れるもの満載の童話といった感じ。若干楳図かずおのようなグロテスクさもあるのですが、わたし的にはこちらの方が耽美な感じがいたしました。
女装家の肉乃小路ニクヨさんがおすすめされていた小説。渋谷の丸山町での連続娼婦殺人事件の被害者、ユリコと和江。 名門といわれるQ女子高出身の2人がなぜ娼婦となり殺されてしまったのか。ユリコの姉であり和江の同級生でもある語り手の"わたし"。そしてもう1人の同級生ミツル。"わたし"からの視点と学生時代の回顧、ユリコと和江それぞれの日記などからストーリーは進んでいきます。
類稀なる美しさを持つユリコの姉であるが故に常に比べらながら育つ"わたし"。学年では常にトップでなんでも器用にこなすことができるミツルですが、彼女も中等部時代に身分の違いによってイジメられていた過去が。中等部出身である者と高校から入学してきた者との間に圧倒的な階級の差に気付かされる"わたし"でしたが、そんなことには気も触れずみんなと同じ扱い受けようとして馬鹿にされる和江。あまりの美しい容姿ゆえ、見た目だけしか必要とされないユリコ。
子どものころから見た目の可愛らしさや美しさで優劣をつけられ、学生時代にはスクールカーストで階級づけされ、社会に出れば女のエリートは煙たがられる。彼女たちが味わったことのある優越や屈辱や劣等は女性なら少なからず共感できると思います。
5冊ともそれぞれ異なる切り口で書かれているので、どれも本当に面白かったのですが、中でも特に面白かったのがこの『グロテスク』です。フィクションではあるものの、1997年に実際に起きた東電OL殺人事件の取材を元に書かれているので、当時の世論や時代背景を知っている世代の方ならより深く読みとくことができるのではと思います。
以前書いて非公開にしていたものを公開しました。
lilynohibi.hatenablog.com