アラフィフ女子のゆるやかな日々

ゆるやかにいろいろなボーダーを越えていきたいアラフィフ主婦のblog

すぐ死ぬんだから

これわたしのことじゃなくて、先日、実家へ母の様子を見に行った時に母が貸してくれた本のタイトルです。ちなみに母には余計な心配を掛けたくないのではわたしの病気のことは一切話していません。何も知らないとはいえ、このタイミングでこのタイトル(苦笑)

 

 

母は「面白いからすぐに読んでね!」と言って貸してくれたのですが、確かに文字も大きくストーリーもテンポ良く進んでいくので1日で読み終えてしまったのだけど、、、面白いってゆうより老後に恐怖を覚える内容でした。

主人公は78歳の主婦「忍ハナ」。元々は旦那の岩造と代々続く酒屋を営んでいたが、今は息子夫婦に引き継ぎ麻布のマンションで夫婦水入らずで暮している。

何より見た目に気を使い、年齢を感じさせない自分作りに励み、体型を維持するためのトレーニングも怠らない。シニア雑誌ストリートスナップの取材を受けるほど人一倍お洒落なハナ。

そんなハナのことを自慢の嫁と褒めちぎる岩造。

だがある日の夕方、岩造はベランダで倒れ、そのまま帰らぬ人となり意気消沈するハナ。しかし遺品を整理している時に所縁のない土地の病院の診察券や知らない子どもの写真などを見つけてしまう。そして息子に託した遺言書を見て愛人(森薫)と子ども(森岩太郎)の存在を知るという感じで物語は進んでいくのですが、、、

実はこの岩造がかなりしたたかな男なのだ。自分が死ぬまで愛人が居たことを微塵も疑わせず「俺はハナと結婚出来て幸せだ」と言い放ち、本妻との子どもにもつけなかった、自分の名前(岩造)から一文字とった名前(岩太郎)を愛人との子に付けたり。

極めつけは夫婦で大切にしていた掛け軸。カリスマ経営者人に岩造自らが頼み込みかいてもらったという『平気で生きる』という書を、酒屋の経営が苦しい時も励みにしてきた岩造とハナ。その掛け軸を愛人への遺贈とするという遺言に、愛人(薫)の本妻である自分への当て付けだと思い込むハナ。しかし実際は岩造の憧れるカリスマ経営者の主治医であった薫が岩造から頼まれて書いてもらったものであり、冗談で「必要なくなったら返してくださいね。」と言った薫の言葉を真に受けた岩造が遺言として残したというオチ。遺言書自体、言霊になるから遺言書は書くなと口をすっぱくして言っていたハナを裏切ってまで書いた理由がこれなのだ。酷すぎるやろ!

そんな訳で本来なら岩造へ向けられるはずの怒りも、本人が死んでしまっているせいで、愛人よりも本妻の方が上とばかりに何かにつけねちねちと薫を追い詰めていくハナ。また同窓会ではいつまでも若々しくお洒落なハナに嫌味を言ってくる同級生に対して、言葉では下手に出るものの内心では見下していたりと、元々強気な性格なのかもしれないがただの怖いばーさんでしかないのだ。たまーに自分の生き方が正解と勘違いしているお年寄りがいるけど、まさにハナはそうゆう感じがする。

リアルなシニアライフが時にはコミカル(いやシニカルかも?)に描かれているのだけど、どーせすぐ死ぬんだからと好きに生きるのは勝手だが、こんなばーさんにはなりたくないと正直思ってしまった。

あと20年だってわたしも70を過ぎたらシニアあるあるよね!と思える様になるんだろうかと考えてしまうお話でした。